シンガポールを走るラブワゴン、メンバーがやってきたのは、国境、シンガポールは、マレーシアに囲まれているため、いったんマレーシアに入らなければならない。よって、マレーシアは、2度立ち寄ることになる。
マレーシアは、大きく分けて、
「ボルネオ島」と
「マレー半島」の2つの地区に分かれている。最初、マレーシアに立ち寄ったときは、
「ボルネオ島」であったので、今度は、
「マレー半島」を旅することにする。
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マレー半島は、イスラム教徒が多い、最初に立ち寄った食堂では、手で食べるのであるが、不浄とされている左手は使えない。
その日の夕方、
浅ちゃんが
さくらを呼び出す。しかし、
さくらは、
「今回は、シマと行く。」と言って、
シマについて行ってしまった。
さくらは、
浅ちゃんのことを、
「優しいと感じるんですけど、いまいち自信がないと思う。」
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メンバーは、首都
「クアラルンプール」のビーチへ。
浅ちゃんは、泳がず、波打ち際で一人過ごしていた。そこへ、
栄子がやってきた。
栄子は、昨日、
浅ちゃんが
さくらを誘えなかったことに、
「また挫けず誘ってみたら?」と言った。
翌日、ラブワゴン車内で、
浅ちゃんと
さくらが隣同士になった。
さくらは、先日、
浅ちゃんの誘いを断ってしまったことに罪悪感を抱いていた。
さくらは、この1日、体調が悪くなり、ラブワゴンで一人過ごしていた。
浅ちゃんは、
さくらのそばにいようとしたが、
さくらは、
「いいよ。ひとりでいい。みんなの元に戻って。」と言った。
浅ちゃんは、その場を立ち去るしかなかった。
さくらが一人でいると、怪しげな住職が現れた。その住職に誘われ、
ボクサーがついていく。
ボクサーは、いまだ言えない想いがあった。それは、ボクシングを引退する時の話。日本ライト級3位まで登りつめたものの、
「心臓弁膜症」という、激しい運動ができなくなる病気により、引退を余儀なくされた。
ボクサーは、怪しい住職から、お酒を勧められた。度数は、46度あったが、
ボクサーは、それをぐびぐび飲み干していた。
ボクサーがラブワゴンに戻ると、
さくらに、
「何? 何? 酒臭いこの男。怖い!」と言われた。
30分後、ほかのメンバーが戻り、走り出すとすぐに、
ボクサーの顔が青白くなった。すると、
ボクサーは、何かを話し始めた。
「まだ戦えるんだよ俺は。負けてねぇんだよ俺は。負けるなら死んでやる。負けてねぇー。やらせろ。ちくしょう。やれるよ俺はまだ。まだ戦えるんだよ俺は。負ける位なら死んでやるよ。頼むから止めないで。俺戦わなきゃ死んじゃうよ。生きていけないからお願いだから。俺は負けたくないんだよ。」
栄子は、水を取り出し、
「負けてないよボクサー、全然負けてないよ。ボクサーすごいよ。だったら頑張ろうよ。だったら水飲もう。ボクサー頑張ってるよ。ハイ口開けてアーン。お水飲めるか? 飲んでお水飲んで。いくよ。」と言って
ボクサーに水を飲ませた。
ボクサーは、ボクサーとしての夢をあきらめざるを得なくなったという思いが自身を苦しめていた。
翌日、公園で、
栄子は、
ボクサーを誘った。しかも、久々に化粧をして誘っていた。
そこで、
ボクサーは、昨日の悪態を、
栄子に謝った。
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