あいのり 第176話
「空も飛べるはず」
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(更新日 : 2009/04/23)

あいのり #176

小さな無人島でウニ丼を食べた翌日、ラブワゴン車内では、ゆっきーと楽しそうに話す、浅ちゃんの姿があった。浅ちゃんは、「おじいちゃんやおばあちゃんになっても、2人でどっか行ったり、年いっても手をつないで歩けるくらいの仲良さ、仲むつまじい。」と言うと、ゆっきーは、「いいよね。」と言った。

しかし、どんなに仲良くゆっきーと会話をしても、浅ちゃんは、しっくり来なかった。それは、カナダで失恋した、サキの姿が脳裏に残っているからであった。

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その後、メンバーは、港へ。今度向かう、「セブ島」へは、5時間の船旅である。ガチャピンは、相変わらず、宮ケンと会話ができなかったが、ガチャピンは、宮ケンにあの時のことを謝ろうと思い、宮ケンを呼び出していた。しかし、宮ケンの口から出てきたのは、ミッシェルの話ばかりであった。ガチャピンは、もはや、宮ケンへの想いは叶わないと悟った。

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セブ島に到着したメンバーは、一軒の教会にやってきた。
セブ島は、観光地ということもあって、宿泊料が高い。そこで、泊まる場所がないかと、行き着いたのがこの教会であった。シスターに頼むと、宿泊OKとの返事が返ってきたので、ここで泊まることにした。この教会には、たくさんの子供たちがいた。その中に、日本人の名前を持っている子供もいた。その子供は三姉妹で、父親は日本人、母親がフィリピン人だった。いわゆる、「ジャパゆきさん」。13年前、三姉妹の母親は、日本で、1人の男性と結婚、2人の子供が生まれ、幸せが続くと思われた。しかし、5年後に、3人目が妊娠すると、父親は家庭を捨て、日本に帰国してしまった。その後、母親は、1人で3人の子供を育てようとしたが、苦しい生活に耐えられず、薬物に手を出し、行方不明になってしまった。
そして、この教会にやってきた。

三姉妹には、1度だけ、祖母と名乗る人から電話がかかってきたが、日本語が分からず、その後、日本からの連絡はない。
あの日以来、いつでも日本からの連絡が来てもいいように、日本語が分かるようになっていたい。そう思うようになった。
今持っている、父親の存在が分かるものは、1枚の写真しかない。

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その日の午後、メンバーは、子供たちに、「だるまさんが転んだ」などの日本の遊びを教えていた。すると、日本に興味を持ち始めた三姉妹が、宮ケンの元にやってきた。

宮ケンは、「今できることをする。」と言って、教会の外に出た。シスターに許可をもらい、教会の白い壁に、1日がかりで、日本の絵を描いた。

翌朝、子供達が、宮ケンの前にやってきた。祖国を見た三姉妹にも笑顔が出ていた。宮ケンは、「セブ島と日本がすごく近いよ。」と言った。

子供たちと一緒に、ミッシェルの姿もいた。ミッシェルは、絵を見て、「間違っていたかも。宮ケンがここにいる意味が分かった。」
一方、ガチャピンは、「どんどん、いい男になっていくね。ミッシェルのおかげで。」と思った。

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