メンバーが再び5人となってしまった、ラブワゴン車内では、別れた、
ボクサーと、僧侶になった、
ソーディーカこと
浅ちゃんのことが気がかりで、誰も会話をしようとはせず、静まり返っていた。新メンバーの
創太は、別れた2人のことを考えていた。
ラブワゴンは、首都
「ヤンゴン」を離れ、北へと向かうが、その車内でも会話はない。
創太は、
「今の雰囲気でいいのか。」と少しでも雰囲気が戻るにはどうすればいいかを考えていた。
午後、
創太は、
シマにそのことを持ちかけた。しかし、
シマは、
「創太だけがぶち当たってるんじゃないんだよ。むしろ、解決方法を教えてほしい。」と、大した成果はなかった。
しかし、翌日、突然、
栄子がハイテンションになり、
「山手線ゲーム」をしようと言うことになった。昼食の時も、
栄子が積極的に場を盛り上げようとしていた。すると、次第にメンバーの雰囲気が戻り始めた。
栄子は、事前に
スタッフに相談をしていた。
「誰かのせいにするんですよね。本当は自分が悪いのに。ボクサーと一緒にいた時間は長かったのに、結局全然分かってあげられなくて、後悔したんですよね。ちゃんと話ししないとボクサーの二の舞になってしまうってね。もっとみんなのこと分かってあげなくては。わたしのこともわかってもらえなきゃ。」
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翌日、
栄子は、
さくらを誘った。
さくらは、最近、すごい
栄子の笑い声が聞こえているような気がした。以前のような、ダメ出しばかり言っていたイメージとは明らかに違うと思っていた。
栄子いわく、
「絶対誰のことも認めようとしなかったもん。悪いところばかりを探して、ここが嫌だからダメとか。でも、1個いい所を見つけたら、それが20、30にもなるんだね。ここに来たら、自分の嫌なところばかり浮き彫りになるじゃん。良いチャンスじゃない。神様がくれたチャンス。」。
さくらは、
「きっかけはボクサー。」と聞くと、
栄子は、
「それも大きいけど。うん・・・」
さらに、
さくらは、
「ボクサーと話したい?」と聞くと、
栄子は、
「今の状態でね。」と言った。
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午前3時、
ソーディーカの1日は始まる。一人用の蚊帳に入り、僧侶たちは、全神経を集中させ、雑念を取り払うため、
「アナバナ呼吸法」と呼ばれる呼吸法を行う。30分後、ゆっくり考える心理状態を作り自分の悩みと向き合うため、
「ウィパッサナー瞑想」を行う。仏教では、悩みを解決する答えは、誰も見つけてくれず、自分で見出すしかない。
午前7時、ほかの僧侶と一緒に、托鉢に出る。この時に集めた食料が昼食となる。
午前10時、昼食。午後は、一切食事を入れてはいけないとされているので、この日の最後の食事である。
午後2時、午前中と同じ修行を4回行う。
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そのころ、ほかのメンバーは、寺から300km離れた、
「インレー湖」にいた。30分後、ダンボールを持った日本人の男性が見えた。新メンバーと思ったメンバーの予感は的中した。
ハッシー、24歳、ダイニングバー経営、東京都出身。
その日の夕方、新メンバーの
ハッシーが、
りぃを誘った。しかし、新メンバーの
ハッシーは、
りぃの名前を
「みぃ」と間違えていた。でも、
りぃは、指摘できなかった。
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ラブワゴンが、さらに北上すると、渋滞にはまってしまった。どうも、2日前に川にかかる橋が壊れてしまい、対岸に渡れなくなってしまっていたのである。
創太は、壊れた橋をじっと眺めていた。
創太には、橋が壊れた原因が理解できたようだ。3時間後、橋は仮復旧し、自動車が通れるようになった。
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翌々日、
シマは、前日より、お父さんキャラでいじってくれる、
栄子の隣に座った。
栄子に、自分はどういう人が聞いてみると、
「たぶんポツッと言った一言にすごい意味が込められてるんだろうけどそこから奥を探し出すのにはまだ全然材料が足りない。」。
ブルネイであいのりした
シマは、就職してからは、年収1000万円を超えるまでの営業マンになったが、3ヶ月間休みがないこともざらにあった。このままでは、お金しか残らないようなつまらない人生になるんだろうなと思い、現在の会社を退職してあいのりの旅に出た。
その日の夕方、
シマは、
栄子を呼び出した。
栄子は、
シマが自分に一番近いと思った。でも、
シマは、あとが違うなと思った。
「栄子は、自分でバカやって度が過ぎることもあるけど、何の自身もないんだろうなと思って。」。
栄子は、
「変に格好をつけるからダメなんじゃない。」と言った。何も考えないで、自分がそうしたいからするでいいんじゃないかな。」
翌日、
シマは、
尾崎豊を歌い始めた。高校時代、バンドでボーカルをしていた時に、良く歌ったんだそうだ。
シマは、
「栄子を目で追ってしまう。好きと言う感情が芽生え始めているかもしれない。」と思った。
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