翌日、次の目的地に向かうラブワゴン、ぽかぽか陽気だったせいもあり、
ヤマジと
でんじが2人で話をしている間に、会話のなかった、
ゴリラーがうたた寝を始めた。
ヤマジは、
ゴリラーを放置していたが、だんだん耐えられなくなってしたので、
ちゃむの魅力で起こしてもらう。
ちゃむ、
「わっ!」
ゴリラー、
「わっ・・・」
ゴリラー、起きた。
でんじ、
「これもちゃむの魅力だから。色気だけが女の武器じゃねぇよ」
ちゃむ、
「そっち求めてた?でも、痩せたかもしんない、こっち来て。」
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トイレ休憩をはさんで、再び、ラブワゴンへ。今度は、
ゴリラーは起きていたが、
ちゃむは、2列目に座っていた、
ゴリラーを超えて、最後尾の
ヤマジと
でんじのトークに割り込んで参加していた。
メンバーの名前の覚え方についてトークしている最中に
ヤマジは、
でんじにキレてしまう。
ヤマジ、
「例えばもし仮にだよ? もしあたしがでんじを完全にもうただっち並の勢いで好きだったとするじゃん。それなのに、あたしとの2人の会話をちゃむに振ったらあたしは、確実にただっちに冷める。」
でんじ、
「気をつけたほうがいいの!? 俺はみんなとしゃべりたいから誰かしゃべってない人がいたらそこに会話を振るよ。いつもみんなが大事だから。でもそんなこと言わずに、あたしだけを見てって言われると、困っちゃう。もし同じこと言われたらどう? 一緒に旅する仲間としゃべるなって言われるのもちょっときつくない? だめ? 」
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その夜、ホテルのロビーにて、
ゴリラーは、
ヤマジに呼び出された。
そこで言われたことは・・・。
ヤマジ、
「すごい寝てたじゃん、今日。なんで寝てたの? ずっと、ちゃむ後ろ向いて、でんじとあたしの会話にトライアングル状態で。後ろ向いて話してたぐらいだったから。なんで隣にいるのにさぁ、なんで話さなかったの!? なんで黙って寝てたの!? 次座ったときなんて、目の前にちゃむいたじゃない!? 後ろ振り向きゃあたしもおったけど、前のほうが話しかけやすいでしょ!? 全く話しかけてなかったよねぇ!? それどころか、ちゃむ、ゴリラー通り越して、でんじと話してたよ!? 悲しくなかった!? 目の前にさぁ、自分がいるのにそれ通り越してでんじと話してたんだよ!? 悔しくなかった!? 返事ぐらいきちんとしようよ、ねぇ!! じゃないとほんとに、振り向かせれないよ、好きな人を!」
ヤマジ、
「コバっちが見たらさぁ、絶対悲しむよ!? なんのために自分がさぁ親友のために一番親友、仲良かったんでしょ? 一番。それをねぇ、阻止してくれたのにどうして!? そんなに具合悪かったの!? 話そうと思えば、話せたでしょ!? 起きて。」
ヤマジ、
「コバっちは女子がリタイアする人を決めた後に告白しに行ったの。だから女子は心痛めながらもリタイアする人決めてたんだよ!? 誰だったと思う。」
ヤマジ、
「そう、ゴリラーだった。理由は、一番成長は見えたけどやっぱり頑張ってる姿があんまり見受けられなかったっていうのと。やっぱりゴリラーが一番輝ける場所はそんなずっと、試合欠場してないで、早く日本に戻ってリングの上で活躍してそこで最愛の人を見つけて欲しいっていうことで心を痛めながらもゴリラー選んでたの。それをコバっちが阻止してくれたのになんでもうちょっと頑張れないの!? ほんとはもう、いないはずなんだよ!? コバっちが与えてくれた時間だよ。これ全部。コバっちに胸はってさ言える!? 帰国後に。悔いのない旅をすることが出来たって言える? コバっちに。」
ヤマジ、
「でしょう!! だったらさ、もうちょっとぶつかりなよ!! 正直そんな寝てばっかりいるこの旅でさ、なんか得れるものある!? 一時の疲れでこの旅後悔していいの!? でんじが寝てるの見たことある!? ワゴンで!! あくびしてるとこも、あたし見たことほとんどないよ! それだけすごいと思うよ、ほんとに! あたしにあんなこと言ったやつだけどたしかにすごいと思う。悔しいけど、あたしは!! でんじは、すっごいこの時間大事にしてるよ!? 寝る時間惜しんで。疲れた顔も見せずに! いっつもみんなのこと考えてるよ! 告白したくないの!?」
ヤマジ、
「でしょう!! だったらもう自分から、告白したいって! コバっちみたいに。自分のリタイア救ってくれたんだよ!? 今回も男だったら、どうすんの!? 自分が選ばれるかもしれないよ!? いつまでもいれると思わないで!! 選ばれたらさぁ、納得して帰れる!? リタイアになったら、納得して帰れる!? 選ばれてリタイアと、告白してカップルになるの、どっちがいい!? 仮に告白してフラれたとしても!! リタイアよりはいいでしょ!? 恋できたんだから!!」
」
ゴリラー、
「リタイアよりはいいと思う。」
ヤマジ、
「でしょう!! せっかく来れたんだよ!? だめだよ、そんなんじゃ!! 頑張れないんだったらもう、自らリタイアしたほうがいいんじゃないかなって思っちゃうもん!! どっちかにしなよ、もう腹を決めてリタイアするか、女子と今すぐぶつかるか! どっちがいいと思う。」
ゴリラー、
「今すぐぶつかったほうがいいと思う。」
ヤマジ、
「でしょう!! 良かったそう言ってくれて。リタイアっつったら、どうしようかと思った! ねぇいいじゃん、だって、日本だってさ今まであたし何人かね出会って数時間後とかに付き合った人知ってるからほんとに! 数時間後とかもしくはもう1日後とかに付き合ってた人知ってるよ!? あたし。いいよもうちゃむにしぼっちゃっても全然いいと思う。もちろんそれは、あたしが決めることじゃないけど。ちゃむにしぼってアタックするのもいいと思うし。だって年齢もちょうどいいじゃん。年下だよね? ちゃむは1才下か2才下かね。かわいいじゃん2才下の彼女って。もちろんあたしゴリラーの趣味知らないけど。あの子すっごいいい子だし。あたしと違って気も利くし。いけるって絶対! 呼び出せるよ今すぐだって。スタッフさんはもうゴリラーがやる気になってくれれば寝る時間惜しんで絶対動いてくれるから! もうあたしだってキプロスのとき、スタッフさんほとんど寝かさなかったからねぇ! もう、やりたい放題だったよ! でも全部飲んでくれたよ!? 頼むからほんとに頑張って!」
ゴリラー、
「うん、頑張る」
ゴリラーは、うたた寝をしていただけなのに・・・。
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翌日、
ヤマジは、ラブワゴンの洗車をしていた。その時に現れた、
ドライバーと彼の恋愛について話題になった。
ドライバーには、2年間付き合っている彼女がいた。
ドライバーは、貧しい農村地帯で生まれ育った。16歳の時に首都ダリムにわたり、リキシャのドライバーを始めた。そして、貯金で車の免許を取って観光ドライバーになった。そんな中、
彼女と出会った。そして、
ドライバーは、
彼女と真剣に結婚を考えるようになった。
ただ、プロポーズはためらっていた。断られたら会えなくなってしまう恐怖感からだった。
翌日、メンバーは、
ドライバーの自宅へ。2DK、風呂とトイレは共同、家賃5000円。友達3人と生活している。今日は、
ドライバーは、
彼女と一緒に来ていた。
彼女を連れているのは、この日、プロポーズしてもらうため。
前日、洗車後、
ヤマジは、
ドライバーと2人で、指輪を選んでいた。
今日、プロポーズが行われることは、
ヤマジ以外の5人のメンバーには知らされていない。
そして、突然、始まった。
ドライバー、
「君に1つ、伝えたいことがあるんだ。みんなにも聞いて欲しい。」
ドライバー、
「長い間留守にして君に会えなくて申し訳なかったと思っている。本当にごめんね。その理由を君は良く知らないだろうから教えるね。僕があいのりのドライバーとして旅していたことを知っているよね。あいのりメンバーはバングラデシュを旅しながら 色々な経験をして笑ったり泣いたり怒ったり。でも僕が見た本当の彼らの姿は自分を変えたいと思いながら一歩踏み出す強い姿勢逃げない姿だったんだ。僕は今まで弱かった。怖いことから逃げてきたんだ。でも彼らを見て気づかされたんだ。どんなことからも逃げちゃいけないって。だから聞いて欲しい。僕と結婚してください。」
彼女の返事は?
彼女、
「いいですよ。」
ドライバーは、
ヤマジと選んだ婚約指輪を、
彼女につけた。
ドライバー、
「ヤマジのおかげで僕はプロポーズできたんだ。ヤマジもがんばるんだよ。君なら絶対できるよ」
その後、
ヤマジは、ラブワゴンへ、
ドライバーからチケットを受け取った。
でんじとの告白の場所として選んだのは、プールサイド。告白が始まる。
ヤマジ、
「ちょっとね色々と考えちゃってさぁ。合流した時から。その人とどんな話してきたかなとか。ワゴンから降りて、走ってきたその人の姿とか。その時は正直、こんな気持ちになるって思ってなかったから。もう好きになっちゃうとさぁ、その人のどんな姿も本当に大好きで。笑顔はもちろん泣き顔も。その人の存在だけで本当に幸せな気持ちになれるって。それを好きな人に教えてもらえたから。こんな幸せな人どこにもいないと思うよ。でもあたしは本当にこの旅来れて良かった。最初ここの空港着いた時やっていけるかなって思ったもん。でも今じゃ出会えたこの国に感謝するくらい好きな人が出来たから。日本に帰ってまた2人で一緒にがんばっていきたいって。もし一緒に日本に帰れたらって、そう思うだけで嬉しくなっちゃうような。そんな人に出会えて本当に良かった。ほんとにあたしでんじに出会えて良かった。一緒に旅できて本当に良かった。でんじとこの国で過ごして絶対に離れ離れになるのは嫌だって。心から思ってだから日本でも傍にいたいなって。そう思うと涙が止まらなかった。でんじのことが、大好き。もう、好きになりすぎてここ数日ほとんど寝れなかったんだから。最初は普通にいい人だな〜とか思ってたけど。まっすぐにぶつかってきて意見もちゃんと言ってくれて。みんなのためにいつも一生懸命がんばってくれて。それを見てるうちにだんだんそういう感情になっていったのかな?」
翌日、運命の朝・・・。